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東京高等裁判所 平成9年(ネ)3884号 判決

控訴人

被控訴人

全国銀行協会連合会

右代表者

右訴訟代理人弁護士

野村昌彦

被控訴人補助参加人

シティコープ・カードサービス・インコーポレイテッド

日本における代表者

右訴訟代理人弁護士

鈴木利治

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴審における訴訟費用(補助参加によって生じた費用を含む。)は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一申立て

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人は、控訴人に対し、金九五万円及びこれに対する平成九年一一月一八日から年五分の割合による金員を支払え(控訴人は、当審において、遅延損害金の起算日を控訴状送達の日の翌日(平成九年一一月一八日)からに請求を減縮し、被控訴人はこれに同意した。)。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

4  仮執行宣言

二  被控訴人

控訴棄却

第二事案の概要

事案の概要は、次のとおり付加、訂正、削除するほか、原判決の事実及び理由の第二に記載のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決二枚目表初行の「信用情報機関において、原告のクレジットカード」を「設置している信用情報センターにおいて、控訴人が加入していたクレジットカード契約」に改め、同二行目の「右」から同末尾までを削り、同六行目の「認定事実」を「証拠によって認定した事実」に改め、同裏三行目の「間、」の次に「共同して、」を加え、同末行の「被告では」を「被控訴人は」に改め、同四枚目表五行目及び同裏初行の各「別紙」の前にそれぞれ「原判決」を、同五枚目裏三行目の「締結日」の次に「、金額」を、同四行目の「おらず、」の次に「取引分野も特定されていないものであって」を加える。

二  原判決五枚目裏四行目の次に改行して「本件延滞情報の登録は、シティバンクがすべきものであり、シティバンクはこの情報をグループ会社である補助参加人に漏洩したものであるから、プライバシーの侵害である。」を、同末行の次に改行して「また、本件同意条項は、控訴人とシティバンクとの間の契約によるものであって、控訴人と被控訴人との間の契約ではないから、本件延滞情報の登録は違法である。」を加える。

三  原判決六枚目裏一〇行目の「本件同意条項」を「本件会員規約第二〇条(以下「本件同意条項」という。)」に改め、同七枚目表三行目の次に改行の上、「本件同意条項による同意は、契約当事者からの信用情報を信用情報機関である被控訴人において登録することに同意するというものであるから、これによって信用情報機関の免責をも定めたものである。したがって、本件同意条項が被控訴人と控訴人との間の契約である必要はない。」を加える。

第三当裁判所の判断

一  当裁判所も、控訴人の訴請求は理由がないと判断する。その理由は、次のとおり付加、訂正、削除するほか、原判決事実及び理由の第三の記載と同一であるから、これを引用する。なお、控訴人は、当審において、「補助参加人の補助参加の申立てを許可する旨の決定を取り消す。右申立てを不許可とする。」旨の裁判を求めているところ、右申立ては原審が原判決中においてした右許可決定に対する不服申立てと解されるところ、補助参加人が、本件訴訟の結果について利害関係を有する者に該当するとして、右補助参加の申立てを許可した原審の判断は相当であって、何ら違法がなく、控訴人の右申立ては理由がないから、これを却下することとする。

1  原判決八枚目表五行目の「別紙」の前に「原判決」を、同八行目の末尾に「なお、控訴人は、会員番号が「四五四三」番で始まるカードは控訴人のカードではなく、そのカードによる利用は控訴人が利用したものではないと主張するが、右主張は右各証拠に照らし到底採用することができず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。」を加え、同九行目冒頭から同一〇行目の「あり、」までを削り、同一〇枚目表九行目の「限っており、」の次に「登録された者との間の取引の禁止も求めておらず、」を、同一一枚目表六行目の次に改行の上、「なお、控訴人は、本件延滞情報の登録は、シティバンクがすべきものであり、シティバンクはこの情報をグループ会社である補助参加人に漏洩したものであるから、プライバシーの侵害であると主張するが、前示二の1認定のとおり、本件クレジット契約は、シティバンク及び補助参加人と控訴人との間で締結されたものであって、補助参加人は契約の当事者であるから、右主張はその前提を欠き、採用の限りではない。」を加える。

2  原判決一二枚目裏二行目の次に改行して「また、控訴人は、本件同意条項は、控訴人とシティバンクとの間の契約によるものであって、控訴人と被控訴人との間の契約ではないから、本件延滞情報の登録は違法であると主張するが、本件同意条項は、契約当事者であるシティバンク及び補助参加人が、信用情報を信用情報機関である被控訴人において登録することを控訴人が予め同意したものであり(本件会員規約二〇条)、控訴人と被控訴人間の契約関係の存在を前提とするものではないから、右主張は理由がない。」を加える。

二  以上の次第であるから、控訴人の本件訴訟は理由がないので棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法六七条一項、六一条、六六条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 筧康生 裁判官 村田長生 後藤博)

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